カメラの八百富|CONVERTIBLE HORSEMAN コンバーチブル ホースマン

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㊥カメラ担当係 "S" です。本日もご覧いただきありがとうございます。

CONVERTIBLE HORSEMAN コンバーチブル ホースマン が入荷しました。

1970年7月に発売された、6x7・6x9センチ判目測式広角カメラです。
発売元は「駒村商会」。
現在でも中判・大判フィルムカメラを供給している貴重な会社です。
厳しい事業環境でしょうが、今後も是非今この「中・大判事業」を継続していただきたいと思います。 

おもわず、「ガンバレ、駒村商会!!!!」


コンバーチブル001.jpg
このコンバーチブルというカメラ、あるようでない、見るようで見ない、なかなか店頭で出くわさないカメラです。弊社の過去の記録を見ると年に1台位のペースでしか入荷しておらず、中古カメラ担当係としては珍しいカメラの一つと位置づけております。

CONVERTIBLE HORSEMAN  諸元

レンズ ホースマン62mm F5.6 (4群6枚) 最短撮影距離1m
フィルター径 43mm
シャッター コパル00番 B・1-1/500秒 M・X接点
ファインダー 枠型スポーツファインダー 85% パララックス修正装置付 ピントグラスも使用可能
焦点調整 目測式 レンズ鏡胴の直進ヘリコイド
露出計 なし
フィルム送り ホルダー上面レバー1操作 作動角最大180度
大きさ・重量 134x101x87mm 780g(レンズ付き・ホルダー含まず)
価格 カメラ本体 (シルバー) 68000円 (ブラック) 70000円

まず、このカメラの一番の特徴は、各部をユニット化した「システムカメラ」であるという点です。
下の写真の通り、見事バラバラに分解できます。


コンバーチブル002.jpg
カメラ本体は上の写真のシルバーの枠で、前後にバヨネットのあるベーシックフレームと呼ばれる部分。前側に座板付のレンズユニットを、後部にはロールフィルムホルダーを取り付けます。

このカメラ、ユニット化された部品の組み合わせで成り立っており、巨大なシステムに発展する可能性を秘めていた製品でした。たとえば、交換レンズの可能性もあったわけです。しかし、残念ながらこれだけのシステムで終わってしまいました。発想はよかったのですが、商売としてはいまいち発展性はなかったようです。(一体設計のほうが幾分か安くできたでしょうに)

次に、各部の使い方のご説明します。
まず、ファインダーの使い方から。


コンバーチブル005.jpg
というふうに使います。
2m以内の撮影には、前枠押し下げでパララックスの修正が出来るように設計されています。
(パララックスとは撮影レンズとファインダーの位置が違うことから発生します。簡単に言えば、右目と左目で見えている範囲が、距離が近いほど違うという感じです)

スポーツファインダーという形式は、日本人にはなかなか受け入れがたいようで使い勝手はいまいち。光学式ファインダー式にしたほうがよかったかもしれません。
軽量化という部分が優先されたのかと思いますが、別売ファインダーを出しておいてほしかったです。


次に、レンズユニットのほうをご覧下さい。面白い所が1箇所あります。
そこで、クイズ!
「レンズユニットの絞りの刻印が下の写真のように11から赤くなっています。どうしてでしょうか?」


コンバーチブル006.jpg
ヒントはホルダーが6x7がついていることと関連しています。
よく勘違いされているのですが、実はこのカメラの基本は6x7なのです。
6x9も取り付け可能なのですが、レンズのイメージサークルが小さいため11より絞って使って下さいという「赤色」なのです。つまり、警告の「赤色」ということです。
(ハッセルのシャッタースピードの赤線とよく似ている話です)
ついつい広角カメラなので6x9が当たり前と思いがちなのですが、そういう制約があります。ご注意下さい。

ご参考までに、62ミリという画角は
 6x7判 : 72度2分  35ミリ換算 : 31ミリ
 6x9判 : 77度46分 35ミリ換算 : 26.6ミリ
ということになります。
この数字を見てしまったら、やはり「6x9判」で使いたくなるのは当然ですね。必ず、11より絞って下さい。お願いします。

また、この写真の被写界深度目盛も特徴的です。目測式カメラですので、読み取り易さを重視したのでしょう。絞り開放では2.4m~4m、F11では2~5.9mが広角レンズの深度に入ります。

正確なピント合わせをしたい方は、後部バヨネットに取り付けられるピントグラスも発売されていましたが、いまだかつてセットで入荷した経験はありません。
(購入された方々が十二分にこのカメラを理解されていた証しかもしれません。このカメラであえてそんなことをする必要はないという考え方だと思います。)

あとこの写真に写っている左右の大きなレバーは、まるで「フジペット」そのものです。向かって右がシャッターチャージ、左がレリーズとなります。また、左上ぎりぎりに写っているのがレリーズ穴です。


前側バヨネットにレンズユニットをはめる時のイメージは下の写真の通りです。


コンバーチブル003.jpg
後部からのイメージはこんな感じです。
BASIC FRAME との刻印が見えます。その下のボタンは、レンズユニットのロック解除ボタンです。
また、フィルムホルダーのロック解除ボタンはベーシックフレームの下側あり、「ON-OFF」という形で表示されています。ホルダーは巻上レバーを下側にして取り付けもできますので、お好みでどうぞ。


コンバーチブル004.jpg
ということで、夢多きシステムカメラであったはずなのですが、1回切りで終わった「悲しい」経歴の持ち主です。ですが、カメラとしての面白さは超一級品です。


商品の状態は中古です。
写真をご覧頂いたらわかるとおり、各所に中古の印があります。
レンズのホコリは少ないですが、前玉の表面はいまいちというところです。
ホルダーのモルトは交換されています。

展示店は大阪駅中央店となっております。価格は、(税別)50,000円 (税込)52,500円、お問い合わせは06-6341-7005、またはメールにてどうぞ。

最後に、中古カメラ担当係のど珍品をご紹介します。
今まで見たことは1度だけで、今回でわずか2回目となります。

コンバーチブル用のレンズフードです。


コンバーチブル007.jpg
かぶせ式のフードで、特徴的なのは前側の四角の切り抜きではないでしょうか。
凝った造りで、フードの形状としては、かなり独創的です。
本体の取り付け根元部に細い線が彫ってあり、それを基準に中心を合わせて使用しますが、ロック機能はありませんので「歪み」には少し注意が必要です。

展示店は大阪駅中央店となります。
価格は、(税別)18,000円、(税込)18,900円 となっております。

+++中古カメラ担当係+++
八百富写真機店   


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このページは、㊥カメラ 担当係が2009年7月14日 23:27に書いたブログ記事です。

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