㊥カメラ担当係 "S" です。本日もご覧いただきありがとうございます。
WERRA ベェラ 初期型 が入荷しました。
このカメラ、非常にシンプルなデザインです。
細い本革の茶色ストラップを取り付けて、気軽に持ち歩く。
街のスナップ写真、そんな雰囲気が似合うカメラです。
「カメラ日和」的、若い世代のフィルム大好きという方に一押しです。
このカメラ、旧東ドイツ製のカメラで、Jena(イエナ)のCarl Zeiss 社から、1954年(昭和29年)頃から発売された、独特のデザインと独特の巻上機能を持ったレンズシャッターカメラです。
Werra の発音ですが、ドイツ語式では「ベェラ」、英語式では「ウエラ」と呼ばれています。今回は、ドイツ語式発音で続けます。
ベェラシリーズは全部で10種類以上が作られたようですが、今日ご紹介するのは、初期モデルの"Werra"となります。
この"Werra"シリーズの面白い所は、次に出たカメラの名称が「Werra1」であること。
なにが面白いかと言いいますと、普通はまずカメラを作った、そして次にその後継を考えたら「2型」というのが通例なんですが、このWerraの場合はWerra1なんです。つまり、Werraの考え方は、0・1・2、普通は1・2・3......ということです。
ただ、最初からこの「0」や「1」を意識して作ったわけでなく、結果的にそのカメラが成功したから後継の2や3がでたということで非常におめでたい話となります。「0」や「1」で終わったカメラがたくさんあることを考えると、栄枯盛衰の悲哀を感じる次第です。
例えば、コニカの「Ⅰ」型の場合
トップカ バーに「Konica」という文字があるだけで、どこにも「Ⅰ」という文字はありません。
後継機のⅡ型には、ちゃんととⅡが刻印されております。
以降、ⅡB-mやⅢ、ⅢA、ⅢMと順送りで、あくまでも、「Ⅰ型」は後付の通称「Ⅰ」型となります。
(細かく分類する場合、Ⅰ型を「スタンダード」「Ⅰ」「Ⅰs」と3種類に分けることもありますが)
そんな訳で、我社の会長は絶対に「コニカⅠ」と値札に書きません。あくまでも、「コニカ」で陳列しております。
※ ニコンのFE、FE2の場合、誰もFE1と言わないという感じでしょうか。
オリンパス XA シリーズの場合
このシリーズは非常にWerra的。1978年発売、以降順に発売されます。
まず、XA、次にXA1とXA2、そしてXA3、XA4MACRO、という流れです。
このWerraシリーズは「0123」式、「初期型」そして「Werra1」と順序を踏んでラインアップが増えていった歴史の持ち主です。
では、Werraに話を戻します。Werra シリーズ を分類してみますと
ってな感じに分類できます。1954年(昭和29年)に発売され、1961年(昭和32年)頃まで生産されていたようで、最後のほうは本体に「ZEISS」マークが入るようになったようです。
独特なレンズキャップとレンズフード
下の写真をご覧頂きますと使い方は一目瞭然です。レンズキャップとフードをうまく本体に組み込み、取り付ける方法を採用しています。ある意味、非常に独特なんですが、実は同じようなこと「日本のミノルタ」が「ミノルタ・メモ」で先に考え出しています。それでも、フードやキャップにボディーと同色の革を貼っているところは「秀」です。本体への格納は、「クイッ」っと押し込むだけ、摩擦で止っています。フードの取り付けはネジ込み式です。
独特なフィルム巻上とシャッターチャージ
フィルムの巻上は、上の写真のレンズ鏡筒の根元のギザギザリングを回転させて行います。
左手で下からリングを持つと回転させやすでしょう。回す方向は、左から右、回転角はそう大きく(約60°)ありませんのでスムーズに行う事ができます。
この巻上は、シャッターチャージも兼ねており、完全二重露光防止の役割を果たしています。
ただし、多重露光はできない構造です。
シャッターセット
シャッターは3枚羽根のビハインド方式。
以前、VITO-Bでご説明しましたが、レンズユニットの後側にシャッターユニットを配している形式です。弱点は、シャッター羽根が大きくなるので、高速シャッターが制限(遅く)されることです。
シャッタースピードは、B.1-1/250秒、シンクロはX接点のみ、ボディーの本体向かって左側にドイツ式であります。(現行の方式と同じです)
シャッターセットは、写真に小さく写っているシャッター基部の2本のピンでセットします。分かりにくいですが、小さな赤点がセット位置です。
あと、これも写真で分かりにくいですが、シャッター1/50秒・距離6m・絞り8が赤く色付けされていますのが、この位置が「パンフォーカス」撮影モード、簡単に言えば「使い捨てカメラ状態」、なんでも撮れちゃうモードです。このカメラでは、この状態で写すが王道かもしれません。
撮影レンズ:Carl Zeiss Jena Tessar 50mm F2.8
このカメラ、レンズメーカーのCarl Zeiss が作った、コンパクトカメラ。
もちろん、純正レンズが装着されています。
Tessar 50mm F2.8 (3群4枚構成)、目測式の焦点調整です。最短撮影距離は0.9m、ヘリコイドの回転は約半回転というところでしょうか。
絞りは、レンズの最先端のリングを回してセットします。
ここで、実は大問題。ピントリングと絞りリングが同じ回転軸上にありますので、絞りを回すとピントリングもいっしょに動いてしまいます。ピントリングを動かさずに、絞りをセットするのは至難の技です。
フィルム室の構造
フィルムの装填は裏ブタを外して行います。
上の写真のように、フタが完全に本体から外れる構造です。
この時代のカメラにはよくある構造ですが、じきにフィルム装填にも慣れます。
ただ、巻上方法が特殊ですから、最初は時間を要すると思いますが、ほんと慣れの問題です。
裏ブタ開閉ロックは上の写真を参照。点と線が一致していればロック状態です。
フィルムの装填は、右側にフィルムを入れ、リーダー部分を引き出し巻き取りスプールに差し込みます。フィルム巻上用のリングを操作して、スプロケットとフィルム穴のかみ合わせを確認後、裏ブタをセット・ロックを行います。2コマ空写しを行い、上の写真の底のフィルムカウンターの中心のギザギザを指で回して「1」にセットします。これで完了です。フィルムは順算式、2・3と増えていきます。
巻き戻しは、巻き戻しボタンを押したのちカウンターの反対側の巻き戻しノブを矢印の方向に回して行います。
ファインダー
お世辞でも、このカメラのファインダーが良いとは言い難いです
単なる素通しファインダー、ブライトフレームや近距離補正枠もありません。
まあ。単なる視野確認用位に考えて下さい。ただ、ファインダーの状態は抜群で、大変クリアーです。
Werraのロゴ
後の機種になりますと、前面向かって右側に黒白でしっかりと「WERRA」というロゴが入るのですが、初期型は、裏ブタの右下に押し印で記載されています。かなり遠慮がちです。
ボディーカラーは緑色。後の年代になると、黒色となります。
ご覧のとおり、裏ブタの右側にやや色落ちがありますが、時代なりということでご理解下さい。
最後に
このカメラ、結構私好みのカメラです。
ローライ35もそうなんですが、目測式コンパクトカメラにスナップ写真の真髄を感じるからです。
厳密なピントを重視する日本人には受け入れ難い方式の目測式ですが、実は日本のカメラも昔はそうであったはずです。みんな、当時は上手に目測式カメラを使っていました。
どうも最近は「ちょっとつらいシーンに出くわすこと」が多くなってきました。
物差しを写してピントをチェックする時代です。
まあ、色々な価値観があるのでしょうが、どうもカメラを計測器的に考える方もおられるようで、なんとなく写真に関わるものとしてさびしくなる時があります。等倍で簡単に誰でも画像を見れる時代ですから仕方がないのでしょう。
メーカーもメーカーです。明るいズームレンズの最短側なんか性能が出るはずもないのですから、無理をさせないでほしいものです。所詮ズームですから、一番良い部分とそれと比較して落ちる部分が混在するものです。開放のズーム全域で、全て撮影距離で均質のレンズ性能を得れないことをはっきりとメーカーとして言うべきと思うのですが。おっと、また脱線です。
ということで、距離合わせ機能のない目測式カメラです。その機能を十分ご理解いただき、スナップ撮影を楽しんでください。
展示店は大阪駅中央店です。
お値段は、(税抜)17,000円 (税込)17,850円です。
お問い合わせは、電話06-6341-7005またはメールにてお願いします。
トップカ バーに「Konica」という文字があるだけで、どこにも「Ⅰ」という文字はありません。
後継機のⅡ型には、ちゃんととⅡが刻印されております。
以降、ⅡB-mやⅢ、ⅢA、ⅢMと順送りで、あくまでも、「Ⅰ型」は後付の通称「Ⅰ」型となります。
(細かく分類する場合、Ⅰ型を「スタンダード」「Ⅰ」「Ⅰs」と3種類に分けることもありますが)
そんな訳で、我社の会長は絶対に「コニカⅠ」と値札に書きません。あくまでも、「コニカ」で陳列しております。
※ ニコンのFE、FE2の場合、誰もFE1と言わないという感じでしょうか。
オリンパス XA シリーズの場合
このシリーズは非常にWerra的。1978年発売、以降順に発売されます。
まず、XA、次にXA1とXA2、そしてXA3、XA4MACRO、という流れです。
このWerraシリーズは「0123」式、「初期型」そして「Werra1」と順序を踏んでラインアップが増えていった歴史の持ち主です。
では、Werraに話を戻します。Werra シリーズ を分類してみますと
Werra・Werra1・Werra1c | 露出計・連動距離計無し |
Werra2 | ブライトフレーム入りファインダー・単独セレン式露出計付き |
Werra3 | 連動距離計付・交換レンズ式・露出計無し |
Werra4・WERRAmatic | 連動距離計付き・露出計付き・レンズ交換式・ファインダー内に35、50、100mmのマスク |
Werra5 | ファインダー内下部に連動露出計の指針・連動距離計付き・レンズ交換式 |
ってな感じに分類できます。1954年(昭和29年)に発売され、1961年(昭和32年)頃まで生産されていたようで、最後のほうは本体に「ZEISS」マークが入るようになったようです。
独特なレンズキャップとレンズフード
下の写真をご覧頂きますと使い方は一目瞭然です。レンズキャップとフードをうまく本体に組み込み、取り付ける方法を採用しています。ある意味、非常に独特なんですが、実は同じようなこと「日本のミノルタ」が「ミノルタ・メモ」で先に考え出しています。それでも、フードやキャップにボディーと同色の革を貼っているところは「秀」です。本体への格納は、「クイッ」っと押し込むだけ、摩擦で止っています。フードの取り付けはネジ込み式です。
独特なフィルム巻上とシャッターチャージ
フィルムの巻上は、上の写真のレンズ鏡筒の根元のギザギザリングを回転させて行います。
左手で下からリングを持つと回転させやすでしょう。回す方向は、左から右、回転角はそう大きく(約60°)ありませんのでスムーズに行う事ができます。
この巻上は、シャッターチャージも兼ねており、完全二重露光防止の役割を果たしています。
ただし、多重露光はできない構造です。
シャッターセット
シャッターは3枚羽根のビハインド方式。
以前、VITO-Bでご説明しましたが、レンズユニットの後側にシャッターユニットを配している形式です。弱点は、シャッター羽根が大きくなるので、高速シャッターが制限(遅く)されることです。
シャッタースピードは、B.1-1/250秒、シンクロはX接点のみ、ボディーの本体向かって左側にドイツ式であります。(現行の方式と同じです)
シャッターセットは、写真に小さく写っているシャッター基部の2本のピンでセットします。分かりにくいですが、小さな赤点がセット位置です。
あと、これも写真で分かりにくいですが、シャッター1/50秒・距離6m・絞り8が赤く色付けされていますのが、この位置が「パンフォーカス」撮影モード、簡単に言えば「使い捨てカメラ状態」、なんでも撮れちゃうモードです。このカメラでは、この状態で写すが王道かもしれません。
撮影レンズ:Carl Zeiss Jena Tessar 50mm F2.8
このカメラ、レンズメーカーのCarl Zeiss が作った、コンパクトカメラ。
もちろん、純正レンズが装着されています。
Tessar 50mm F2.8 (3群4枚構成)、目測式の焦点調整です。最短撮影距離は0.9m、ヘリコイドの回転は約半回転というところでしょうか。
絞りは、レンズの最先端のリングを回してセットします。
ここで、実は大問題。ピントリングと絞りリングが同じ回転軸上にありますので、絞りを回すとピントリングもいっしょに動いてしまいます。ピントリングを動かさずに、絞りをセットするのは至難の技です。
フィルム室の構造
フィルムの装填は裏ブタを外して行います。
上の写真のように、フタが完全に本体から外れる構造です。
この時代のカメラにはよくある構造ですが、じきにフィルム装填にも慣れます。
ただ、巻上方法が特殊ですから、最初は時間を要すると思いますが、ほんと慣れの問題です。
裏ブタ開閉ロックは上の写真を参照。点と線が一致していればロック状態です。
フィルムの装填は、右側にフィルムを入れ、リーダー部分を引き出し巻き取りスプールに差し込みます。フィルム巻上用のリングを操作して、スプロケットとフィルム穴のかみ合わせを確認後、裏ブタをセット・ロックを行います。2コマ空写しを行い、上の写真の底のフィルムカウンターの中心のギザギザを指で回して「1」にセットします。これで完了です。フィルムは順算式、2・3と増えていきます。
巻き戻しは、巻き戻しボタンを押したのちカウンターの反対側の巻き戻しノブを矢印の方向に回して行います。
ファインダー
お世辞でも、このカメラのファインダーが良いとは言い難いです
単なる素通しファインダー、ブライトフレームや近距離補正枠もありません。
まあ。単なる視野確認用位に考えて下さい。ただ、ファインダーの状態は抜群で、大変クリアーです。
Werraのロゴ
後の機種になりますと、前面向かって右側に黒白でしっかりと「WERRA」というロゴが入るのですが、初期型は、裏ブタの右下に押し印で記載されています。かなり遠慮がちです。
ボディーカラーは緑色。後の年代になると、黒色となります。
ご覧のとおり、裏ブタの右側にやや色落ちがありますが、時代なりということでご理解下さい。
最後に
このカメラ、結構私好みのカメラです。
ローライ35もそうなんですが、目測式コンパクトカメラにスナップ写真の真髄を感じるからです。
厳密なピントを重視する日本人には受け入れ難い方式の目測式ですが、実は日本のカメラも昔はそうであったはずです。みんな、当時は上手に目測式カメラを使っていました。
どうも最近は「ちょっとつらいシーンに出くわすこと」が多くなってきました。
物差しを写してピントをチェックする時代です。
まあ、色々な価値観があるのでしょうが、どうもカメラを計測器的に考える方もおられるようで、なんとなく写真に関わるものとしてさびしくなる時があります。等倍で簡単に誰でも画像を見れる時代ですから仕方がないのでしょう。
メーカーもメーカーです。明るいズームレンズの最短側なんか性能が出るはずもないのですから、無理をさせないでほしいものです。所詮ズームですから、一番良い部分とそれと比較して落ちる部分が混在するものです。開放のズーム全域で、全て撮影距離で均質のレンズ性能を得れないことをはっきりとメーカーとして言うべきと思うのですが。おっと、また脱線です。
ということで、距離合わせ機能のない目測式カメラです。その機能を十分ご理解いただき、スナップ撮影を楽しんでください。
展示店は大阪駅中央店です。
お値段は、(税抜)17,000円 (税込)17,850円です。
お問い合わせは、電話06-6341-7005またはメールにてお願いします。
+++中古カメラ担当係+++
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