㊥カメラ担当係 "S" です。本日もご覧いただきありがとうございます。
PENTAX MACRO TAKUMAR 50mm F4 (M42) ペンタックス マクロ タクマー が入荷しました。
お久しぶりのPENTAXレンズの話題です。
プリセット絞り方式の、等倍撮影(1:1)が可能なマクロ(接写)レンズです。
マウントはM42マウント。
ペンタックスS、ペンタックススクリューマウント、プラクチカマウント、ペンタねじ込み式、いろんな言い方がありますが、クルクル回してレンズを取り付ける方式の分です。
このレンズ、ちょっと撮影したくなっちゃいましたので今回はサンプル写真付きです。
撮影した結果は、正直な所の感想は「興ざめ」。えー、なんじゃい?
アイロニーなんですが、期待に思いっきり反して「よく写る」レンズです。
勝手に時代なりの「むちゃくちゃ」さを想像してたのですが、まあその件は後ほど。
では、まず外観からご紹介を始めます。
このレンズの特徴は、ヘリコイド回転グルグル。
鏡筒がここまで伸びます。
いわゆる等倍マクロレンズで、撮影倍率1:1、実物1cmの大きさをフィルム面上にそのまま1cmに撮影できる性能をもっています。
Macro-Takumar 50mm F4 諸元
焦点距離:50mm
F値:F4
画角:47度
レンズ構成:3群4枚
絞羽枚数:8枚
最短撮影距離:0.208m
最小絞り:F22
大きさ:最大径59.0mm×長さ56.0mm
重量:265g
フィルター径:49mm
発売時価格:15,400円 ケース400円 計15,800円
発売時期:1964年(昭和39年)
次の特徴は、やたらと数字が沢山。
根元には被写界深度表、ピントリングには距離表示が「m」と「feet」で2種類と撮影倍率、絞り機構部分には露出倍数と絞り値2表示。
このうち、最前部の二つの絞り環は以前に申し上げた「プリセット絞り」機構。
一つが使いたい実際の絞り値をセット(手前の環)、もう一方が絞りの手動開閉(一番前の環)。
開放から自分で決めた絞り値の間、別にどこで止めようが自由。
決まっているのは、開放の場所と自分で決めた絞り値。
その間は無段階、無クリックの自由設定となります。
その次の数字。
4x、3x、2x、1.5x、についてご説明します。
露出倍数といわれるものです。
この数値をレンズに刻印いているところが、いかにもいかにも時代を表しています。
すなわち、TTL測光がなかった時代だからこその「親切設計」なのです。
いまやTTL測光なんぞ、当たり前ですが、この当時は無いのが当たり前。
あくまでも、別露出計で測定しなければならない時代でした。
ところが、マクロ撮影というのは厄介で、ヘリコイドが上の写真のようにグルグル伸びます。
伸びるとどうなるか、実際にフィルム面上に届く光が、伸びれば伸びるほどどんどん弱くなるという性質があります。
皆さん、学校の勉強を思い出して下さい。
覚えていませんか?「距離の2乗に反比例」ってな話を。
学校の勉強みたいな話で恐縮なんですが、レンズの前から入ってくる光はF4のレンズの性能でフィルムに届きます。しかし、マクロ撮影ではレンズが伸びる分、どんどんフィルムはレンズを通して入ってくる光にとっては遠い存在となります。円錐みたいなもんで、円が広がれば広がるほど、入ってくる光は一定だから薄くなるってな話です。
それを我々に教えてくれているのが、この「4x、3x、2x、1.5x」という数字です。
数字に色が付いているでしょ、この色はピントリングの上部の撮影倍率の数字の色と符号しているのです。
例えば、撮影倍率「1:8から1:4」までは水色、すなわち「露出倍数」の水色1.5xに該当する。
黄色の2xは、黄色の倍率の部分。オレンジの3xは、オレンジ。赤の4xは赤、ということです。
もちろん、突然に露出倍数が変化する(階段状)わけではなく、あくまでも徐々に曲線として変化します。
まあ、実際のところ現在のTTL露出計が内蔵された機種で使用する分は全くもって関係ない話です。ヘリコイドが伸びれば、実際にセンサーに届く光が弱くなりますから。
そんなことだとのご理解で十分です。ただ、こういう歴史的、学問的背景があると知って使ったほうがこのレンズを使う上で面白いということでのご紹介でした。
商品状態は時代なりというところでしょうか。
それなりの使用感はあります。いままでの写真や下の写真でご確認下さい。
レンズ状態は、うーん。
私は気泡だと思います。2箇所そんな所があります。
(実際は傷だとしてもご容赦下さい。これは「傷ダー」でのご返品はご容赦下さいね)
「気泡」とは、昔は今みたいに技術が発達していなかったため、レンズ材料を攪拌する時(混ぜる時)、まあグルグル回したら空気も一緒にガラスの中に入り込み、冷えて固まりそのまま泡が残ったというものです。
その昔の取説には、「レンズに気泡が入っている場合があるが、写りには影響がない」と書かれていたんですよ。
私の爺さんなんかに言わせれば、
「気泡が入っていないレンズなんぞあかん!!!」
「そんなレンズ、十分攪拌されていないガラスだから成分に偏りがある、気泡は十分攪拌されたという証拠だ!」
って、お客さんに話してたって会長から聞きます。
古きよき時代ですね。
その点、メーカーはしっかりとユーザーに「会社としてのスタンス」を説明すべきだと思います。
例えば、箱を空けたら、
「この商品のはホコリが混入している可能性がありますが写りには影響ありません。万が一、混入していても品質検査に合格した商品ですので安心してお使い下さい」
って紙が入っていて、ご了承してもらえたらビニールを開封する。
(パソコンのドット抜けみたいなもんです。)
まずもってクリーンルームで製造していないのですから、ホコリが混入する可能性がある説明すべきです。
そういう環境下で生産しているので、「そういうものです」としっかり発言すべきです。
妙に、「品質管理はしっかりしています」なんていうから話がややこしい。
「完璧のような雰囲気」が非常によくない。
撮影に影響があれば問題ですが、影響のない話は話としてしっかり対処すべきかと思う次第です。
ユーザー側のお気持ちは十分理解できるのですが、その点を解消するために生産設備に投資がかさみ、その分商品が高くなるのは、まったくもって合理的ではありません。半導体や宇宙船を作っている工場や製品ではないのですから。あくまでも、写真を撮影するために必要な機材を生産するに見合う品質と生産設備。結果が全てです。結果に差がつかないものに時間とコストを費やすのは非常に無駄としかいいようがありません。
その点では、ライカの新品は別物です。(非常に勝手ですが)
ライカは撮影道具を超えた、工芸品。
ホコリは一切許されません。
まあ、その分非常に高価なのですから、当然に求める結果なのかもしれません。
しかし、古いライカのレンズになるとこれまた別物。
厳しい基準で商品を見ると、全てを否定すること......。
珍しさと価格、経年した年数、その他総合的に判断すべき問題というところでしょうか。
以上、勝手な私なりの思いです。
現状においては、お手にされた新品で、ご不満などがあれば色々とご相談下さい。
お客様のご意見、ご要望は必ずメーカーにお伝えして、出来うる限りご要望を実現するよう努めます。ご遠慮なくご相談下さい。我々小売店はお客様の声を伝えるのが役割ですから。
おっと、かなり脱線です。
では、撮影サンプルです。フルサイズでの画像を見てみたかったので、禁断のEOS使いです。
PENTAXファミリーの皆様ご容赦下さい(笑)
各写真はリサイズのみ。クリックしてしてきただきますと横1000ピクセル画像がご覧いただけます。※ 各画像の右上の黒色のも、センサーゴミです。そのままで失礼します。
F4撮影(周辺光量不足が見てとれます)
F8撮影(光量不足は解消)
F22撮影
F4.5撮影(接写)
F4撮影(接写:電信柱の張り紙のはがし跡)
F4撮影(逆光性能)
F8撮影(逆光性能)
F22撮影(逆光性能)
という感じです。
開放時の周辺光量不足はあるものの、発色・解像は結構ハイレベルです。
そういう意味で、先ほど申し上げた通り「興ざめ」。
そうなんです、写りすぎです。ビルの窓枠なんか見ていただくと、凄いでしょ。
40年以上前のレンズとは思えない写りです。
是非、積極的にご利用頂けたらなと思います。
展示店は大阪駅中央店です。
お値段は、(税抜)16,000円 (税込)16,800円です。
鏡筒がここまで伸びます。
いわゆる等倍マクロレンズで、撮影倍率1:1、実物1cmの大きさをフィルム面上にそのまま1cmに撮影できる性能をもっています。
Macro-Takumar 50mm F4 諸元
焦点距離:50mm
F値:F4
画角:47度
レンズ構成:3群4枚
絞羽枚数:8枚
最短撮影距離:0.208m
最小絞り:F22
大きさ:最大径59.0mm×長さ56.0mm
重量:265g
フィルター径:49mm
発売時価格:15,400円 ケース400円 計15,800円
発売時期:1964年(昭和39年)
次の特徴は、やたらと数字が沢山。
根元には被写界深度表、ピントリングには距離表示が「m」と「feet」で2種類と撮影倍率、絞り機構部分には露出倍数と絞り値2表示。
このうち、最前部の二つの絞り環は以前に申し上げた「プリセット絞り」機構。
一つが使いたい実際の絞り値をセット(手前の環)、もう一方が絞りの手動開閉(一番前の環)。
開放から自分で決めた絞り値の間、別にどこで止めようが自由。
決まっているのは、開放の場所と自分で決めた絞り値。
その間は無段階、無クリックの自由設定となります。
その次の数字。
4x、3x、2x、1.5x、についてご説明します。
露出倍数といわれるものです。
この数値をレンズに刻印いているところが、いかにもいかにも時代を表しています。
すなわち、TTL測光がなかった時代だからこその「親切設計」なのです。
いまやTTL測光なんぞ、当たり前ですが、この当時は無いのが当たり前。
あくまでも、別露出計で測定しなければならない時代でした。
ところが、マクロ撮影というのは厄介で、ヘリコイドが上の写真のようにグルグル伸びます。
伸びるとどうなるか、実際にフィルム面上に届く光が、伸びれば伸びるほどどんどん弱くなるという性質があります。
皆さん、学校の勉強を思い出して下さい。
覚えていませんか?「距離の2乗に反比例」ってな話を。
学校の勉強みたいな話で恐縮なんですが、レンズの前から入ってくる光はF4のレンズの性能でフィルムに届きます。しかし、マクロ撮影ではレンズが伸びる分、どんどんフィルムはレンズを通して入ってくる光にとっては遠い存在となります。円錐みたいなもんで、円が広がれば広がるほど、入ってくる光は一定だから薄くなるってな話です。
それを我々に教えてくれているのが、この「4x、3x、2x、1.5x」という数字です。
数字に色が付いているでしょ、この色はピントリングの上部の撮影倍率の数字の色と符号しているのです。
例えば、撮影倍率「1:8から1:4」までは水色、すなわち「露出倍数」の水色1.5xに該当する。
黄色の2xは、黄色の倍率の部分。オレンジの3xは、オレンジ。赤の4xは赤、ということです。
もちろん、突然に露出倍数が変化する(階段状)わけではなく、あくまでも徐々に曲線として変化します。
まあ、実際のところ現在のTTL露出計が内蔵された機種で使用する分は全くもって関係ない話です。ヘリコイドが伸びれば、実際にセンサーに届く光が弱くなりますから。
そんなことだとのご理解で十分です。ただ、こういう歴史的、学問的背景があると知って使ったほうがこのレンズを使う上で面白いということでのご紹介でした。
商品状態は時代なりというところでしょうか。
それなりの使用感はあります。いままでの写真や下の写真でご確認下さい。
レンズ状態は、うーん。
私は気泡だと思います。2箇所そんな所があります。
(実際は傷だとしてもご容赦下さい。これは「傷ダー」でのご返品はご容赦下さいね)
「気泡」とは、昔は今みたいに技術が発達していなかったため、レンズ材料を攪拌する時(混ぜる時)、まあグルグル回したら空気も一緒にガラスの中に入り込み、冷えて固まりそのまま泡が残ったというものです。
その昔の取説には、「レンズに気泡が入っている場合があるが、写りには影響がない」と書かれていたんですよ。
私の爺さんなんかに言わせれば、
「気泡が入っていないレンズなんぞあかん!!!」
「そんなレンズ、十分攪拌されていないガラスだから成分に偏りがある、気泡は十分攪拌されたという証拠だ!」
って、お客さんに話してたって会長から聞きます。
古きよき時代ですね。
その点、メーカーはしっかりとユーザーに「会社としてのスタンス」を説明すべきだと思います。
例えば、箱を空けたら、
「この商品のはホコリが混入している可能性がありますが写りには影響ありません。万が一、混入していても品質検査に合格した商品ですので安心してお使い下さい」
って紙が入っていて、ご了承してもらえたらビニールを開封する。
(パソコンのドット抜けみたいなもんです。)
まずもってクリーンルームで製造していないのですから、ホコリが混入する可能性がある説明すべきです。
そういう環境下で生産しているので、「そういうものです」としっかり発言すべきです。
妙に、「品質管理はしっかりしています」なんていうから話がややこしい。
「完璧のような雰囲気」が非常によくない。
撮影に影響があれば問題ですが、影響のない話は話としてしっかり対処すべきかと思う次第です。
ユーザー側のお気持ちは十分理解できるのですが、その点を解消するために生産設備に投資がかさみ、その分商品が高くなるのは、まったくもって合理的ではありません。半導体や宇宙船を作っている工場や製品ではないのですから。あくまでも、写真を撮影するために必要な機材を生産するに見合う品質と生産設備。結果が全てです。結果に差がつかないものに時間とコストを費やすのは非常に無駄としかいいようがありません。
その点では、ライカの新品は別物です。(非常に勝手ですが)
ライカは撮影道具を超えた、工芸品。
ホコリは一切許されません。
まあ、その分非常に高価なのですから、当然に求める結果なのかもしれません。
しかし、古いライカのレンズになるとこれまた別物。
厳しい基準で商品を見ると、全てを否定すること......。
珍しさと価格、経年した年数、その他総合的に判断すべき問題というところでしょうか。
以上、勝手な私なりの思いです。
現状においては、お手にされた新品で、ご不満などがあれば色々とご相談下さい。
お客様のご意見、ご要望は必ずメーカーにお伝えして、出来うる限りご要望を実現するよう努めます。ご遠慮なくご相談下さい。我々小売店はお客様の声を伝えるのが役割ですから。
おっと、かなり脱線です。
では、撮影サンプルです。フルサイズでの画像を見てみたかったので、禁断のEOS使いです。
PENTAXファミリーの皆様ご容赦下さい(笑)
各写真はリサイズのみ。クリックしてしてきただきますと横1000ピクセル画像がご覧いただけます。※ 各画像の右上の黒色のも、センサーゴミです。そのままで失礼します。
F4撮影(周辺光量不足が見てとれます)
F8撮影(光量不足は解消)
F22撮影
F4.5撮影(接写)
F4撮影(接写:電信柱の張り紙のはがし跡)
F4撮影(逆光性能)
F8撮影(逆光性能)
F22撮影(逆光性能)
という感じです。
開放時の周辺光量不足はあるものの、発色・解像は結構ハイレベルです。
そういう意味で、先ほど申し上げた通り「興ざめ」。
そうなんです、写りすぎです。ビルの窓枠なんか見ていただくと、凄いでしょ。
40年以上前のレンズとは思えない写りです。
是非、積極的にご利用頂けたらなと思います。
展示店は大阪駅中央店です。
お値段は、(税抜)16,000円 (税込)16,800円です。
店舗へのお問い合わせは、電話06-6341-7005またはメールにてお願いします。
+++中古カメラ担当係+++
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