カメラの八百富|「ショートフランジバックカメラ」というカテゴリー

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㊥カメラ担当係 "S" です。本日もご覧いただきありがとうございます。

「ショートフランジバックカメラ」というカテゴリーで、今人気の「ミラーレス一眼」を考えるべきなのかもしれません。
が日本を中心としたアジア地域で大変順調に売れているのですが、実は欧米市場ではまだ全く相手にされていないカテゴリーのようで、ミラーの有無をもって商品を分類分けして「商品が売れる」のはまだ日本だけのようです。

そんな市場を、
PENTAXさんの幹部は、次のようにコメントされています。


たとえばミラーレスのレンズ交換式カメラ。我々の持っているデータでは、レンズ交換式カメラ市場の伸びのほとんどは、ミラーレス機の増加によるものです。日本ではミラーレス機のシェアが30%を超えており、香港も20%を記録して周辺地域にも拡大する傾向です。米国はほとんどゼロですが、欧州は一部メーカーが価格を落としたこともあり、安くてコンパクトなシステムとして数字が伸び始めました。ミラーレス機の良さを訴求するため、まずは買ってもらおうと値段がアグレッシブになってきています。今後、欧米ではソニー、パナソニック、サムスンが、ミラーレス機普及のために、相当安い価格帯で勝負してくるのではないでしょうか。近い将来、欧米でも7%くらいのシェアをミラーレス機が取るようになるでしょう。


「まだ商品を出していないメーカーさんのコメントなんで~」と思われるかもしれませんが、他社さんのお話を聞いても現状は同じようなものです。もちろん、近い将来において「ミラーレス機」のシェアが7%なのか、それとももっと多いのかは予測の分かれるところで、もっと強気の見方をする先行メーカーもありますが、いずれにせよここ数年で確実にシェアを伸ばす商品であることは間違いありません。

ただ、ワールドワイドでみると「ミラーの有無」というような観点であーだ、こうだと言っているのはまだこの日本だけのようで、その当りが大御所2社の参入がいまだにはっきりしない背景なのかもしれません。おそらく、何らかの形でいわゆる「ミラーレス市場」に近々に参入されるのでしょうが、その参入の形は「ミラーレス」ではなく、「ショートフランジバックカメラ」としてではないかと考えております。

言葉遊びみたいな所もありますが、小さなカメラを実現するためにミラーを排除しフランジバックの短いカメラを作るのか、それとも動画を含めた新しい写真スタイルの創造のためにフランジバックの短い小さなカメラを作るのか、そういう立ち位置の違いで商品が全く異なるのですが、現在既にそういう状況になっているというような、そんな話を聞く機会がありましたので、次ページでご紹介させて頂きます。


ただ、色々な見方や考え方もありますから、以下の内容については一つの考え方につぎないということでご覧下さい。

「マイクロフォーサーズ」と「SONY のEマウント」との比較でよく言われるのが、

マイクロフォーサーズはセンサーが小さいから画質が劣る。
SONY NEX はAPS-Cサイズの大きいセンサーなので画質がよい。

という指摘です。
ところが、これは大きな間違いで、センサーサイズだけで画質を語ることはできず、センサーサイズはあくまでも画質の評価の一要素にすぎないということが抜け落ちているのです。

ズバっと言えば、センサーサイズに対して無理をしてフランジバックを短くしたマウントシステムでは、一部のレンズでレンズ性能に犠牲が生じ、トータルとして画質に悪影響を及ぼすことになる場合が生じる危険をはらんでいるということなのです。

その理由に関しては、非常に専門的な話で、私が説明できる話ではないのですが、センサーサイズとフランジバックの相関関係はレンズ設計において非常に重要で、センサーサイズに対して極端にフランジバックを短くした状況で、小型レンズなんぞ作れないということのようです。

つまり、大きなセンサーを使用するカメラで、レンズまで無理やりに小型化すると、いくらセンサーの能力は高くてもレンズの性能が破綻し、バランスの悪い状況が生じるということです。

その一例といったらなんなんですが、以下のMTF曲線をご覧下さい。
SONY E 16mm F2.8 の分です。(メーカーサイトより引用)

SONY_MTF.jpg
MTF曲線の見方は、WEBで調べていただくとして、画面中心からの距離(mm)の12mm以降の曲線が限りなく「O%」に近づいていることがご覧頂けるものと思います。これは、画面の周辺部では解像せず、コントラストもないということを意味しております。APS-Cサイズセンサーの対角線は約28mm(半分が14mm)、マイクロフォーサーズの対角線は21.6mm(半分が約11mm)ですから、このレンズはマイクロフォーサーズでちょうどよい性能ということかと思います。絞れば何とかともいえず、30本/mmを見る限り解像感は改善しないようです。

ところが、標準レンズは次の通りなんですね。
SONY E 18-55mm


SONY_MTF2.jpg
望遠側の一部でやや厳しい曲線部分もありますが、MTF上はまずまずの出来栄えではないでしょうか。たぶん、このレンズは無理をして小さくしたという部類ではないでしょうから、こういう結果となっているものと思われます。

参考までに、マイクロフォーサーズの同じようなレンズ2本のMTF曲線も載せておきますね。
是非、比較してください。

PANASONIC LUMIX G 14mm F2.5 ASPH

pana-mtf1.jpg













PANASONIC LUMIX G VARIO 14-45mm F3.5-5.6 ASPH OIS


pana-mtf2.jpg

周辺部のMTF曲線の落込み具合を比較していただくと、その差がご理解いただけるかと思います。
PANASONICの場合、MTF値40%程度を下限域としてレンズ設計されているようで、それ以下は「いかんだろう」という精神かと思います。
このあたりのMTF曲線の差が、WEB上の一般ユーザーの声と連動しているのでしょうか。

ということで、センサーサイズとフランジバックとの相関関係が如何に重要かとのお話でした。
今、このあたりのバランスを未発売のニコンやキヤノンは詰めているのでしょう。

センサーサイズが大きければよいというのであれば、APS-Cよりフルサイズであり、さらにはもっと大型のセンサーがあるわけですし、現行のレンズシステム上にあえてミラーレスを置く必要もありません。両社ともハイアマチュアからプロ向けには、豊富な製品を取り揃えており、その機器からミラーを排除する必要は現在のところないのですから。

またコンデジ比較においては、フォーサーズ程度のセンサーでも圧倒的に大きなセンサーですから、十分に一眼画質を生むことができます。いずれにせよ、「動画に強い=AF追随と長時間録画」という問題を考慮しながら、「小型・軽量・高性能」という切り口をレンズとのバランスを図りながら最大限に高めた新たなミラーレス・ショートフランジバックカメラが生まれてくるはずです。その答えが、どんなものか楽しみでなりません。

ただ、一番怖いのはレンズ交換式コンデジまで価格が下落し、カメラそのもの位置づけが低位に置かれて市場が枯れてしまうことと考えております。台数ばかり増える市場の商品ではなく、新しい写真文化に貢献してくれるカテゴリーであってほしいと願います。

最後に、中古カメラ的発想からは全く別次元となることは付け加えて置く必要がありますね。
色々なレンズを付けたいという方々にとっては、やはりSONYの方が有利ですね。
焦点距離の換算率もそうですし、素晴らしいセンサー能力とあいまって、低価格なユニバーサルボディーとして力を発揮することと思います。


最後に、蛇足ですが、
以下のようなメーカーコメントはちょっといただけないという気がします。


(質問)
これはソニーNEXにも言えることですが、ミラーレス機のコンパクトという特徴を活かすのであれば、レンズシステムもコンパクトになるより小さなセンサーでも良かったのでは?

(回答)
やはり画質を優先しました。一眼レフカメラの持つ高画質というイメージを損なわない大型のイメージセンサーと、コンパクトカメラの良さ、使い勝手を一つにするというコンセプトで開発しています。両方とも消費者の中に大きなニーズとして存在するため、両方を満たした製品を提案しようと思いました。

おいおい、そんなイメージでセンサー大きさを決めるなよ!見た目だけの問題なんですか????


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このページは、㊥カメラ 担当係が2010年11月14日 19:55に書いたブログ記事です。

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