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㊥カメラ担当係 "S" です。本日もご覧いただきありがとうございます。
今年最後の個別商品のご紹介になります。
CANON FL 19mm F3.5 R キヤノン 19mm F/3.5 レトロフォーカス が入荷しました
レンズ諸元
発売年月 : 昭和40年(1965年)11月
マウント : 外3爪バヨネット式(FLマウント)
構成枚数 : 9群11枚
絞り羽根枚数 : 6枚
最小絞り :16
最短撮影距離 : 0.5m
最大撮影倍率(倍) : 0.048
フィルター径 シリーズIX(Ⅸ)
最大径x長さ : 82mm X 68mm
質量 : 500g
発売時価格 : 45,000円(ケース付)
このレンズの特徴は、「19mm」という飛びぬけた画角。
このレンズが発売される昭和30年台の最も広いレンズは「ライカマウント」の「25mm」。そこから先の超広角レンズはなかなか発売されなかったのですが、昭和39年8月にようやく「19mm」が登場し新たな世界が広がりました。
もちろんレンジファインダー機に取り付けるレンズですから、別に取り付けたビューファインダーを介して撮影範囲を確認する方式。今の時代では逆説的に人気を博している方式なのですが、パララックスの関係で、実用上は決して便利とはいえない方式でした。
そんなレンズを、当時市場が拡大しつつあるクイックリターン方式の一眼レフカメラ用にも供給。
常に実像を確認しながら撮影するという画期的な方式のカメラに、ミラーを跳ね上げて「ミラーボックス」内に後群ユニットを突っ込むという形で使用するという強行策?で市場投入。もう、なんで一眼レフカメラなのに外部ファインダーなんだというわけで、即刻翌年にこの「R」タイプのレンズが投入されたという話です。
ただ、ユーザーの中には距離計連動式カメラと一眼レフを併用するという方もおられたわけで、ライカマウント用の19mmを購入され、マウントアダプターで一眼レフに使用するというユーザーフレンドリーな一面があったことは評価しておかないといけません。
話を整理しますと、
- ライカマウント規格 19mm F3.5 ※マウントアダプターでFXに取付可能
- FLマウント規格 19mm F3.5 ※ライカマウントレンズと同じレンズ構成でマウント違い
- FLマウント規格 19mm F3.5R ※新設計レンズ
それぞれの発売年月
- 昭和39年(1964年)8月
- 昭和39年(1964年)8月
- 昭和40年(1965年)11月
ということで、撮影時ファインダーでの確認が不可能な超広角レンズと、確認が可能な超広角レンズがほぼ同時期にキヤノンさから発売されたというわけです。
これを可能にした技術が、「R」=「Retrofocus」(レトロフォーカス)というレンズ設計で、日本語で言えば逆望遠型光学系。この設計を採用したことによりミラーの干渉の起きないバックフォーカス量を確保でき、ミラーアップしないで通常使用できる超広角レンズとして世に供給されたのです。
今の時代からすれば、19mm位ならまあ普通の超広角レンズというレベルなのですが、なにせこのレンズが発売されていたのが昭和40年。現代基準でいうなら「12mm」の超広角レンズを入手するという感じ、いったいどんな写真が撮れるのか、わくわくする気持ちで購入されたのではではないでしょうか。
そして、この「R」=「Retrofocus」(レトロフォーカス)という単語、もともとはフランスのアンジェニューによって昭和25年(1950年)に市販化されたレンズ形式なのです。(正確には映画カメラマンが1932年に特許取得)
下の写真を見てもらいますと、銘板に「RETROFOCUS」と刻印されているでしょ。元来はひとつの商標だったのですが、現在では同様
のレンズ形式の一般名詞のように用いられています。
ただ、日本メーカーでは設計形式でレンズの名称を変えるということはなく、通常の名称の中で位置づけられており、初期の有名なレンズでは、
- Auto Takumar 35mm F3.2
- Auto NIKKOR 28mm F3.5
- Atuo NIKKOR 24mm F2.8
などがこの部類のレンズに該当します。
前置きが長くなりましたが、このレンズ、最近中古市場ではあまり見かけなくなりつつあります。10年ぐらい前ならそこそこ入荷したような記憶があるのですが、ここ最近はご無沙汰。収まるところに収まって、なかなか流通しないというところでしょうか。
そんな中、今回、珍しいフィルターホルダー付での入荷です。
このレンズに関するご質問で、次のように答えられなかったら中古カメラ屋の店員失格?という話なんですが、なかなか一発回答できるお店(店員さん)は少ないかと思います。
(私自身がどうかはまあ~横に置いておいて下さい・失格店員?笑)
お客様 「このFL 19mm F3.5 に合うフィルター売っていますか?」
店員A 「ああ、ありますよ。77mm径です」
店員B 「ああ、ありますよ。77mm径ですが、広角なのでできたら薄型をお勧めします」
店員C 「う~ん、一応前枠は77mmなんですが、本来は専用のフィルターホルダーを使用してシリーズフィルターのIX使います。でも、残念ながらないですね。珍品ですからね......」
店員D 「本来はシリーズフィルターなのですが、なかなかそのフィルターホルダーが入手できないです。どうしてもというお話でしたら、ステップアップリングの77-82mmでフィルターサイズを上げて、82mm径で考えていただければいいかと思います。そのままですと、周辺がケラレちゃいますので。ただ、マウントアダプターでフルサイズセンサーより小さいデジカメでご使用になる場合には、そのままでもOKですよ。センサーのほうが小さいので大丈夫です」
一番は、店員Dさんですね。うちの店も、全員が「さっと」こうお答えできるよう頑張っておりますが、いや~なかなか。それでも、誰かがちゃんとお答えできると思います。
その珍品のフィルターホルダーがこれです。
取付枠・シリーズフィルター本体・押さえの前枠の3つから構成されています。
組み立てますと、
実は、ここで問題あり。ばらすのが難しいのです。
上下の枠にギザギザが施されているのですが、とにかく薄くてうまくつかめないのです。
まかり間違っても、レンズへの取り付け時に、「ギュー」っと力をこめないでください。
前枠がはずせなくなっちゃいます。
あと、装着されているフィルターがUVなので、やや黄色味を帯びています。
(この商品のフィルターはおまけ扱いで。傷・すれがたくさんあります)
サイズは、SERIES IX(Ⅸ)という大きさです。
レンズに取り付けるとこんな状態
結構、レンズからはみ出すんですね。
かなり「いかつい」いでたちと言いましょうか、なかなかのフォルムです。
商品状態の追加説明
が、着脱は全く問題なく行えておりますのでご安心ください。
特記事項は上記の通り。やや地金見えがあり、フィルター前枠にやや凹み直し跡?らしきものがあります。レンズ状態は、時代なりというところで、撮影に影響のあるような傷、ホコリはありません。
付属品は、上記のフィルターホルダー(FILTER HOLDER FOR FL 19mm 1:3.5 R)とシリーズフィルターIX(UV)と純正のフロントキャップ(80mm:かぶせ式)となります。展示店は大阪駅中央店です。
お値段 は、(税抜)32,000円 (税込)33,600円。
WEB 上でも購入できます。 → こちら
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