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㊥カメラ担当係"S"です。
㊥カメラ担当係"S"が駆け出し店員だった頃、
とある常連のお客さんから
「なあ、あんた。若いからというて、ズームファインダーとユニバーサルファインダーを言い間違えたら、中古カメラ屋の店員"失格"やで。もっと、しっかり勉強しいや!」
と怒られた(ご指導頂いた)ことがあったのですが、
ある程度の経験を積んだ今、その時のことを思い出しますと、
「けだし名言」
「あの時は、ほんまええ"カツ!"をお客様から頂戴した」
「中古カメラは、まずは原理原則を理解すること」
「また、日頃からそう心がけることで、初めて出くわすカメラともお付き合いできるようになる」
と、その時のご指導の「真意」に感謝するのですが、
しみじみ、「中古カメラ屋の店員」って、ほんとお客さんに育ててもらっています。
そのお客様の真意は、単に言葉の使い方の誤りを指摘することではなく、構造や原理の違いを理解せず、「解ったふりをしながら、お客様に調子を合わせている、"知ったか"店員(私)の姿勢」に「カツ!」を入れられたわけです。
今となっては、「ナイス、カツ!」です。
以降、そのお客様からは、ほんとたくさんたくさん教えてもらいました。
「わしらはなあ、あんた生まれる何十年も前からカメラとつきおうてんの。そりゃ、単なる趣味やで。」
「けど、あんたは、中古カメラのプロになるんやろ。」
「じゃあ、これからわしらの話相手になってくれるんやったら、よう勉強せなあかん。」
「底が浅いというか、お里が知れるような物言いしとったら、興ざめやで。」
「わしら、あんたが今どんな程度かすぐ見抜ぬくで。」
「無理して話を合わせなはんなや。まずはいろんな人の話を、よ~く聞くことからはじめなはれ。」
「まずは聞き上手や、ほんならいっぱい情報や知識がやってくるで~、そうなったらしめたもんや」
そんなかんだで、その最初に教えてもらったのが、「ズームファインダー」と「ユニバーサルファインダー」の構造。
その方いわく、
「カメラ屋のぞいて、一番興ざめするのがこの間違い。逆に値札に書いてあったり、そう言うとったりするのを見聞きすると、ああこの店あかんなあ!とワシらはなるわけ。気つけやあ!中古カメラ屋の店員失格~!の烙印押されんぞ~!」
というのが、今回のタイトルの真意だったわけです。
ところがもって、今日、うちの若いスタッフが、なんとまあ「同じ間違い」をしているのを発見。
カメラの買取台帳に「ニコン・ズームファインダー」「ニコン・ズームファインダー」と記帳しているのですが、出てきた商品がこれ。
まさしく、「お里が知れる」間違いだったわけです。
答えは、左側がズームファインダー、右側がユニバーサルファインダー。
(※左側ファインダーのニコンさんの正式英語表記は「VARIFOCAL VIEW FINDER」です)
ところが、ここが中古カメラ的に難しい所で、左側を正式?に言うなら、「変倍式ユニバーサルファインダー」と表現すべし!、あるいは右側は「正像式ユニバーサルファインダー」である!、というご意見もあるわけなんですが、一般的にはこう呼んでます。
言葉の概念としては、一つのファインダーの中で画角を連続的に変える事ができるファインダーを広義のユニバーサルファインダーと呼び、その中で「視野を広げたり絞ったり=倍率は同じで枠が伸び縮み=望遠時は中心以外は真っ黒、小さく縮ん出し視野が真中に見えている」なるものを狭義のユニバーサルファインダーと呼んでいます。
つまり、ズームファインダーも広義のユニバーサルファインダーの一つで、ファインダー内像の倍率が変化するものを「ズームファインダー」と呼び、ファインダー内像の倍率は変化せず、視野枠が大小するものを「ユニバーサルファインダー(狭義)」と一般的に呼んでいるということです。
そんなんじゃ全くもって分かりにくい話なんで、写真でご説明しましょう。
まず、これが狭義の「ユニバーサルファインダー」の広角側の見え方。
で、望遠側にするとこんな風になります。(倍率は同じで、視野だけ狭くなる)
次に、「ズームファインダー」。広角側は同じような見え方です。
で、ズームリングを望遠側に回すと、こう。全くもって、今の時代では極く普通の見え方なんですが、このように大きく見えるっようになったことは、すごく革新的なことだったのです。
お分かり頂けましたでしょうか。
この区別がついていないと、昔の私のように、あるいは若いスタッフのように、とりあえず適当に呼んで間違えるというわけです。
あと、倍率は視野毎に変化するが連続的に変化しないタイプ、外観的には対物側が顕微鏡みたいで、円状に配置された数本のレンズを回転させながら画角を変化させるものは、ターレットファインダーと呼んばれており、広義のユニバーサルファインダーの中の一つです。写真がご用意できればよかったのですが、あいにく在庫がないためご勘弁下さい。
その他、ズームファインダーが2本搭載された、ターレット型ズームファインダーというものがあったりと、まあ一眼レフの前のレンジファインダーの時代は、単焦点ファインダーを含め色々と工夫されたファインダーが数多く生産され、収集家にはたまらん世界となっています。
ということで、
今日はニコンのファインダーを2機種ご紹介させて頂きます。