「隠れスターレンズ」をリニューアル
HD PENTAX-FA 35mm F2 ご予約開始です !!! 人気モデルをアップグレードするという考え方
セールスさんからこのニュースをお聞きした時、正直とても驚きました。
「35mmのリニューアル?」
まったく個人的に想定していなかった、領域?レンズ?手法?だったのでとにかくビックリ。
まずは、そのあたりの真意を聞いてみました。
基本の姿勢は次の通り
「当然、今後も大型・重量級の高性能レンズは、継続的に投入していきますよ~」
そして、リニューアルという考え方については、
「ただ、すべてを新製品に置き換えるのではなく、優れた性能を持つ既存人気モデルは、アップグレードという考え方で継続的に見直して投入していきます」
だそうです。
言われてみると、過去の既にDA Limited レンズ群のHD化とデザインリニューアルがありました。(そう今回を特別視したらいかんなぁ~と自己反省)
そして、
日頃使用している HD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8ED DC AW で、「HDコーティングでこんなにも抜けが良くなるのか!」と実感している私としては、
そもそもHD化に大賛成派。(ここ問題なし)
さらに、
さすがにフィルム時代からの旧デザインには、今時点での居心地の悪さを感じていたので、デザイン変更も大歓迎!(いいじゃん~)
でも、え?????もしかして
「クイックシフトフォーカスはどうした~」(ここで硬直)
そのあたりをお聞きすると、
一人のセールスとしてはこう思っています。
「定価 56,000円 と低位に抑えたかった。その結果だと思っています。割り切ることろは割り切ったではないでしょうか」
それからもう一度じっくり説明をお聞きし、しばらく色々と触らしてもらう。
ファインダー像も確認して、試し撮りもさせてもらう。
そんなお試し経て、もう一度「スペック」確認してみる
- レンズ構成は現状維持(絞りによる写りの変化を楽しめるレンズのまま)
- クイックシフトフォーカスは搭載なし。絞り環もそのままで、他の機構スペックもそのまま(超割り切り)
- ただ、デザインはリニューアル(昨今のカメラデザインとの統一性、あとキズとかテカリが目立たない仕様に変更)
- 付加価値はコーティングのHD化(抜けがとてもよくなる)
- もう一つの付加価値は、前玉のSPコーティング化(キズ防止)
上記を踏まえ、私なりにこのレンズを総括してみますと
「味のある描写、変化のある描写、今後も自分たちは大切にしていきたい」
「このレンズは素性のいいレンズなので、コーティングを刷新することさらに進化する」
「抜けのよさという進化を加えたので、もう一度スナップの最前線でガンガン使ってもらえませんか」
こんな作り手の思いを感じるレンズとして再登板~
と、まとめさせて下さい。
開放からカリカリ写るレンズがここ最近のトレンドです。
もちろん、リコーさんとしてはそういうレンズもやっていきます。
でも、こういうペンタらしいレンズ、言葉にするなら
「描写の中に、芯がありつつも穏やかさややさしさを併せ持つレンズ」は捨てがたい。そして、そういうレンズはシンプルで小型軽量というペンタらしさをも同時に提供できる。ご意見もあろうが、ペンタらしさの一側面を表すレンズと理解してもらえたら幸せだ」
そんな風に、私なりに補足させて頂こうと思います。
では、まずは画角の確認。いつもの定点撮影場所からです。
カメラは PENTAX K-1 Mark II です
念のため、あくまでも画角の確認用写真です。
抜けがいい写真ですが、新レンズで撮影した画像ではございません (^^);; ほんと抜けがいいなぁ~ (^^)
安心感のある 35mm フルサイズ画角 63° です
では、恒例の外観をご紹介していきましょう。
従来品の smc PENTAX-FA 35mm F2 AL と比較しながら細部をご確認下さい。
並べると、コーティングの色の違いが見てとれますね。
薄い緑系のいかにもエコガラス的な色合い(左)から、紫系のやや色のりの濃さを感じる色(右)に変わりました。
あと、距離指標下の「レンズの識別刻印」が今様に、そしてピントリングのゴムが山谷式に変わっています。
サイドのロゴも新デザインに変更されています。
今回から「AL」アスフェリカルの文字は商品名から削除された模様。
外装の仕上げは従来品とは大きく違います。フードが分かりやすいので、フードの比較写真。
従来品は、使い込むとキズやテカリが目立ちましたが、新製品は比較的目立たない仕様となりました。
最新の他製品と同じ縮緬塗装。経験則からしても、格段によくなることと思います。
この縮緬塗装は最新式のDAやDFAレンズと同じで、Kシリーズデジタル一眼カメラとのマッチングも良くコンパクトな単焦点レンズに仕上がっています。
ピントリングもMF時の操作性を考慮して山谷のゴムに。
クイックシフトフォーカス おっと、やめておきましょう (^^);;
さらに、外観を見ていきます。
マウント面は従来品と全く同じ。WRではないので、シーリングもなしです。割り切り!
そうそう~
レンズの先端に緑ラインが入った事を書いてませんでした。
社内では「グリーンリング」と呼ぶそうです。
そして、この角度にするとよりコーティング色の違いが出てますね~
もうちょっと拡大。こっちが、従来品の smc PENTAX-FA 35mm F2 のコーティング。
私的には、とてもエコガラス的な色合いと感じるところ。
ここ最近の各社のレンズは、ほんとこの系統の色合い。
鉛レスの補色ですね。
そして、こちらが新レンズ HD PENTAX-FA 35mm F2の色合い。
中古カメラ的に言えば、昔の NEW Nikkor くささを感じます。
とても色濃い!
この1枚目の前玉(第1レンズ)には SP (Super Protect) コーティングが新採用されています。
ここ最近のリコーさんのレンズには必ず採用されているコーティングで、材質はフッ素コート。
硬度が高く、レンズ保護に効果を発揮するコーティングです。
レンズにホコリや水滴、油汚れなどがつきにくくなると同時に、汚れが付着した場合でも、簡単に除去しやすいという特長を備えているコーティングです。
その特徴を動画でご紹介。
まずは油性インキで落書き。インクをはじく=コーティング面に対しては球なので接地面が少ない。簡単にきれいにふき取ることができます。
次は水でお試し。左側がSPコーティング面、サラサラと流れてほとんど流れ落ちます。
最後は黒のポスカ。右側の従来コーティングではとてもレンズと馴染んでしまっていますね~ (^^);;
ということで、
汚れが付きにくい。付いたとしても、簡単にふき取ることができる。さらに、拭いてもキズが入りにくい。
という特徴のご紹介でした。
ただ、実際のふきふきでは、まずはブロアでほこりやごみ飛ばし!必ず励行下さいね。
そして、中のレンズには最新のマルチコート「HDコーティング」が蒸着されています。
- 従来のコーティングを全面的に見直した、反射を抑える高性能コーティングを採用
- その結果、ゴーストやフレアを抑え、画面全体でヌケのよい描写となる
このレンズの持つ元々の素性の良さ「シャープな写り」をコーティングで補完し「よりよい描写」に発展させました。
まずは、その能力をサンプル写真でご紹介。
明らかな差をみてとれます。
このような画面内に強い光源があるような悪条件って、高感度性能のアップで結構出くわすシーンです。
でも、従来のマルチコーティング版の製品だと左側。
これがHDコーティングの力です。
私が日頃使うレンズで、最もコーティングの進化を感じているレンズが1本あります。
HD DFA 70-200mm F2.8です。このレンズで写すと、空気の透明感が高くなると言いましょうか、確実にもやっとした薄皮がとれて、あらゆる方向に向けて撮影してもシャキッとした映像を得ることができます。
基本はフードで斜光をカット。
それでも真逆光となりますとフードは役立たず、コーティングの性能に頼らなければなりません。
詳しく、技術的にみてみましょう。
HDコーティングは、製法を見直すことで、設計上の理論値により近い高精度なコート膜を形成させます。
膜の硬度が高く耐久性にすぐれ、従来のマルチコーディングと比較して50%以下まで反射率を低減し、ゴーストやフレアの抑制に非常に高い効果を発揮する最新のマルチコーティングです。
均一な膜厚でレンズ表面にコーティングを蒸着することが可能となったので、旧製品であるsmc PENTAX-FA35mmF2ALと比較し以下の通り優れた反射防止性能を達成したそうです。
下のグラフは、旧製品smc PENTAX-FA35mmF2ALと同一レンズ面で比較した場合の反射率です。
可視光域(400~700nm)の範囲でHDコーティングの高い反射防止性能が読み取れます。
さらに透過率の新旧比較をみてみましょう。
同じように可視光域で高い性能となています。
HDコーティングを施した各レンズ面の反射防止性能によって、レンズ全体としての総合的な透過率の向上を実現しています。
たかがコーティング。されどコーティング。
中古レンズを取り扱っている店なので、その歴史や効用は身に染みて感じている部分。
レンズ発展史はある意味コーティングの歴史なり。
PENTAXさんもそう~
ただの Takumar に始まり、Super-Takumar、Super-Multi-Coated TAKUMAR、SMC TAKUMAR、SMC PENTAX、smc PENTAX-M、smc PENTAX-A、smc PENTAX-F、smc PENTAX-FA、そして HD PENTAX
まさにPENTAXレンズの歴史は、コーティング歴史でもありますね。
※ 校正のご協力、感謝申し上げます (^^)
さらに、このレンズの写りをレンズ構成とMTF直線で見ていきましょう。
レンズ構成は冒頭にも書いた通り、従来品と同じ5群6枚。
とてもシンプルです。
特徴と言えば、第6レンズ=後玉にハイブリット非球面レンズを配していること。
ご承知の通り、これはフィルム時代のレンズ。
当時、35ミリAF一眼レフカメラ用35mmF2レンズで初めて非球面レンズを採用したレンズでした。
この非球面レンズのおかげで諸収差が良好に補正され、
- 開放ではしっかり解像しつつ、柔らかさも併せ持つ描写
- 1段~2段絞ると全体にシャープに描写する
一眼レフならではの楽しみを体感できるとして人気を博したレンズです。
巷では「隠れスターレンズ」などと呼ばれ、多くの方々に愛用されたレンズです。
(ちょっと過去形で失礼です~31mm limited に人気をもっていかれた)
その素性のよいレンズを、今のコーティング技術で再リメイクしたのが今回の新製品。
逆光時でもゴースト・フレアのより少ないクリアな写真を実現しました。
- 素性のシャープさを大切に
- クリアで抜けが良い
- 開放時の柔らかさと穏やかさは残しておきたい
もう一度、舞台に上がってきてほしい~そんなメーカーさんの思いを感じるところであります。
フォーカスは全群繰り出し。そして、最短撮影距離は30cm。
この全群繰り出しがこのレンズのミソ!
レンズ全体が鏡筒ごと全部が前後する全群繰り出し方式なので、近接撮影時の補正機構(フローティング機構)を必要としない。
そう、ここが小型軽量なるレンズの源泉なのです。
もし、これを今風の開放からパキパキの高解像高性能なレンズとして新設計すると、まずは前玉に大きなパワーのある非球面レンズを配し、後群に種々の収差補正系の高性能レンズが必要となり、加えてフローティング機構、さらにフォーカス用の高性能なアクチュエターをどうする?などなど、どんどん大きく!どんどん重たく!そしてどんどん高額化していきます。
そう、振り返ると、味のある小型なレンズはどこいった?
となるわけですね。
そこでもう一度、このレンズ特徴を再確認。
レンズの特徴(=カタログスペックとして数値では表現できない部分=写りの多面性)の継承を第一義
とした上で、
- 開放では柔らかさを持ちながらしっかりした解像をする描写
- 絞ると全体がシャープな描写
- そんな多面性を、今後も共存させたい
そんな思いで再登板させたのがこのレンズ。
ほんと、言葉だけでは伝えきれない部分です。
具体的にお伝えできるよう、このレンズも出来るだけはやくお写ん歩"K"君のレビューをお届けしたいと計画中です。
彼と話しをしますと、
「とても好きなレンズでしたよ」 おっと、ここでも過去形。彼も軸足が31mmになってたみたい
「もう一度、ひな壇!に登壇ですね」
「ラグビーで言えば第一列のフォワードではなくて、バックスのフルバック的な存在かなぁ」
「駆け抜けてもらいましょう~」
製品版を楽しみにしております。(担当者のOGA氏殿)
それでは、各社レンズと一緒にMTF曲線をみてみましょう。
古い基本設計だからダメという感じではなく、最新式の各社のレンズと十分に張り合える力を有していますね。
そして、各社レンズとのスペック比較も一応アップしておきますね~ (^^);;
それでは、
さらに次ページで外観を紹介を続けていきましょう
レンズフード付の姿
横向き
そう、結構目立つ「ノーマル FA」のプリント。
なかなかいいです。
カメラにセットするとこんな感じ。
ちょっとカッコいい! (^^)
マウント部分から
ご覧の通り、フォーカスは通称「グリグリ」
カメラ本体内のモーターでレンズのヘリコイドを回転させます。
この方式の問題点は、ギアのバックラッシュ。
もし、カメラ側のフォーカスシステムがコントラストAFなら大きな弱点となる方式です。
理由は、コントラストAFではピークを検出しないといけないので、行き過ぎる動作が必要。
つまり、戻る時にでるギアの遊びが制御に影響します。
なので、昨今のレンズでは、駆動用のアクチュエーターにリードスクリュー方式のSTM(ステッピングモーター)などを使って、高精度かつ高速にAFを制御する仕組みが採用されています。
そうなりますと、フォーカスレンズは出来るだけ小さくて軽く。レンズの中にモーターのスペース、近接補正も必要、どんどんシステムが大きくなってしまいます。
冒頭で申し上げた通り、割り切りでしょうか。
ただ、このバックラッシュの問題は、測距センサーを別にもつ一眼レフの位相差AFの場合には、差分を計算してそこに向けて進むだけなので、全然問題となりません。
位相差方式は計算結果に基づく一方通行方式なので、この方向に進め!ここで止まれ!で命令完了です。
ざっくりと言いますと、一眼レフ形式の静止画用途、あるいは像面位相差方式時のライブビューならグリグリでも全然オッケーです。
なので、もう一度、ここは割り切りなのです。
最後に、フードを逆付けした時の姿。
昔ながらの姿と申しましょうか、このレンズらしいこんもり収納スタイルです。
さぁ~いかがでしたでしょうか。
そうそう、一つ補足しておかねばなりません。
このレンズ、ロードマップに載っている「大口径広角単焦点レンズ」ではございません。
そうであったとしてもモノ足らん!
もちろん、こういうご意見もあろうかと思います。
しかし、冒頭の通り、「素性のいいレンズを、デジタル時代に合わせてリメイクする」が本筋。
コーティング変更でレンズが全然違うものになる、
という新たなアップグレード品とご理解いただければ幸いです。
2019年2月22日(金) に新発売~
ご予約は、是非とも当店経由で!どうぞよろしくお願い申し上げます。
【ご予約受付中!! 2019年2月22日発売予定】
HD ペンタックス PENTAX-FA 35mm F2
販売価格 会員様価格
ご予約ページはこちら https://www.yaotomi.co.jp/products/detail/30492
付属品:レンズフード・プロントキャップ・リアキャップ(レンズケース:別売)