2019年6月アーカイブ





いつもありがとうございます。

八百富写真機店の公式 twitter 担当「ヤオッター」こと、中古カメラご一行様担当の "S"です

先日、ふと「フイルム写真のラチチュード」のことが書きたくなってtwitterで連投したのものを、
こちらで少し再編集して掲載させて頂きます。

ラチチュードは、ラティチュード、ラティテュードとも表記される写真用語、オーディオや信号処理系で出てくる「ダイナミックレンジ」と同じよう意味合いです。

昔のフィルム時代を経験されていない新たなフィルムユーザー様向けに、出来るだけ分かりやすく「カラーネガフィルム」の特徴をまとめてみました

もし、分からない事があれば、いつでも twitter 経由でお問合せ下さいね~



八百富写真機店 @yaotomicamera  https://twitter.com/yaotomicamera






 
《フィルム写真のラチチュードのついて》

fujifilm20190630.jpg
 
ラチチュードとは露出のオーバー(白い所)から露出のアンダー(黒い所)の所をどこまで再現できるかの領域の事。


広いとか狭いとかでその幅を表現します。


フィルムではネガが「広く」、ポジが「狭い」特性をもっています。


そのうちネガの許容範囲は適正露出に対して上下5段、もう少し突っ込むならオーバー側のほうがより強いので、中央値に対してオーバー6段、アンダー4段程度の光の情報を記録できる媒体だと思っておいて下さい。


対する「ポジ」は適正露出に対して上下2.5段ほど5段の光の情報を記録できます。


なので、露出調整機構の無いレンズ付きフィルムには、ラチチュードが広い高感度のフィルムが入れられているわけですね。


アンダーになった薄いネガ像より、少々オーバー(濃いネガ像)だけれど、ネガフィルムはオーバー側に耐性力のあるラチチュードなのでプリントしやすい(色が出る)という利点、そして高感度にするとシャッタースピードを稼げる、そんな理由から高感度カラーネガフィルムが装填されています。


残念ながら生産完了となってしまった富士フイルムのナチュラ。


感度1600のフィルムですが、お外でもあるいは室内でもノンフラッシュ、雰囲気を残せる万能フィルムとして人気があったという所は、こういうラチチュードの広さに起因します。


低感度フィルムの微粒面は素晴らしいですが、ナチュラも発色カプラーの工夫で高感度フィルムで言われがちな粒状性の粗さを改善したフィルムだったので、生産完了は個人的には写真文化の中でとても大きな損出の一つだと思っています。


ということで、ざっくりネガ10段、ポジ5段がラチチュードだと覚えておいて下さい


ここからが本題。


じゃ、フィルムに記録された光の情報を表現する写真印画紙のラチチュードは何段か?


ここ重要、ざっくり「5段」なわけですね。


つまり、ポジと印画紙は同じというわけです。


また、ポジ像には光の明暗だけでなく、誰もが認識できる色情報も記録されますので、写す前に露出をどうするか、ホワイトバランスはどうするかの設定を決めなければなりません。


なので、プロカメラマンは明暗差を図る普通の露出計だけでなく、高価なカラーメーターを購入し色温度を測定されていたわけです。


測定値はフジやコダックのカラーバランスフィルターの数字に置き換えられ、使う色フィルターを選択し、最終的な写真の出来上がりを想定した上で撮影されていたわけです。


まさにプロフェッショナルな仕事。


現像されたポジ像は光の明暗と色を考慮した上での完成品。


それゆに、印刷などの後工程との調整が少なく、互いにローコストだったわけと存じます。


そして、かたやの「ネガ」


ネガに残された情報は「10段」、印画紙は「5段」つまり、撮影後の後工程でどう表現するか色々と考えることができるわけです。


一見するとポジはプロ、ネガはアマチュアと思いがちですが、許容範囲の広さを持つネガフィルムは超優秀な記録媒体だと言えます。


そのかわりネガで重要なことは、後行程の人にどう自分の想いを伝えるかです。


ここがほんと勘所。


オレンジ色の支持体(オレンジベース)の上に補色で記録されたネガ像だけでは、普通の人はどんな色なのか全く分かりません。


私も「緑は赤~」程度。でも、昔のモニターなしのプリンター機の時代、写真屋さんで働くプリンターマンは普通にネガ像を見ただけでカラーに脳内変換できたのです。あのオレンジ色が、ポジみたい見えるそうです。ある意味、職人です。


そんな補色で記録されたカラーネガ像は、プリント時に、C(シアン)M(マゼンダ)Y(イエロー)の3色の色フィルターを使って三度露光時間を変えながら、色を再現していきます。つまり、露光時間のかけかたで色を作れるということです。


もちろん、カラーネガフィルムそのものの固有の特性はありますが、最後の色づくりはプリンターマンの仕事。


なので、ニュートラルにプリントするのか、あるいはその場の雰囲気を重視するのか、そういうあたりの撮影者の意図をくみ取りながらプリンターマンはプリントしてきます。


そこらあたりの撮影者の想いをどう伝えるか、またどうくみ取るかのコミュニケーションがお互いに必要、重要だということです。


また、ネガは5段の印画紙では表現できていない情報が沢山つまった媒体です。


以前に書きましたが、データ化したらネガを捨ててしまう方がおられますが、とてももったいない。


そのデータ化された写真は、ネガの一部を再現したものに過ぎないのです。


なので、作品にする時など、ここ一番には「ネガ」をお持ちください。


同時プリントで焼いたL判写真などがプラスであれば、とてもお互いにコミュニケーションしやすいでしょうか。


ネガはとても優秀なフィルムです。


今後も末永く生き残ってほしい記録媒体だと思います(終)





《フィルム写真のラチチュード》まとめ


ネガフィルムと印画紙(プリント)の関係は、現像されたオレンジベース上に記録された10段分の光の情報の中から、どう5段分の情報を切る取るか?ということを、「撮影後」にできる記録媒体だということです。

そういう事を頭においてお使い下さい~

ということは?

めちゃ「スナップに強い媒体」だと言えますね。

つまり、ラチチュードが広い ⇒ 露出に寛容 ⇒ 少々のいい加減さに耐えうる媒体であるという事。

絞りF8、中距離にピント置き、後はシャッターチャンスをまって、限りある36枚撮りで挑んでみる。

被写界深度を利用してパンフォーカスで撮影するスナップ写真の時に、フィルムのラチチュードの広さを意識してみる

また、それいと楽しです! (完)








 




熱き想いの男たち3人組が
「かっこいいカメラにカスタムできないか !!!」そんな想いを形にしたのがこの新製品



ペンタックス PENTAX KP J limited リミテッド
ついに製品化が決定 !!!





PENTAX_KP_J_LIMITED-001.jpg


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このカメラに込められた想いは、「作り手の魂」と「遊び心」、そして「愛情」

そんなカメラに出会ったのは、今年、横浜で開催された CP+2019 リコーさんブースの奥だった。

そには、3人の男たちが数台のなにやら変わった色の PENTAX KP について、真剣に丁寧に真面目に、お一人お一人とお話しておられる。

いったいこのカメラたちはなんなんだ~

そして、このおっさん達はなんなんだぁ~(すいません)

 

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吸い寄せられるように、恐る恐る近付いてみる。

多くの古今東西のカメラと長年接してきたので、カメラが発する「魔性のお誘い」というものをまことに僭越ではありますが、なんとなく感じる時があります。


「やばい !!!」

会場の奥から誘ってくるような気配を感じ、「こやつ!魔性の1台ではないか」ととっさに身構えた。
 


とは言え、

カメラ好きなわたくしですので、「はい!さいなら~」とその場を簡単に去れるはずもなく

「カメラ好きの一人のおっさん」と化し

魔性の手招きに導かれつつ、3人の男たちに近付いてみた。

その後は定石通り、「これあかん!カッコいい」となってしまったわけでございます。



魔性感のあるカメラって、

機能とか性能云々ではなく、見たり触ったりすると「作り手の想いがダイレクトにこっちに伝わってくる」ような感触があるカメラと言いましょうか、カメラに作り手の深き想いがあるカメラのこと。

中には独りよがりが勝ちすぎたカメラにもなったりしますが、見ているだけで楽しいカメラもあったりします。

商品企画の人たちが作るカメラを本道の「売れるカメラ」とするなら、

この PENTAX KP J limited は、

「売れる売れない」は少し横においといて、「こんなカメラにしたらどうだろうか」

そんな想いをとても大切して商品を考えてみたではないでしょうか。

だから、ダイレクトにその想いが伝わってくる。

この心のキャッチボールがこの PENTAX KP J limited の醍醐味だと、わたくしは感じております。


なので、

「想いを共有できるカメラ」で
「所有したいと思わせちゃうカメラ」

単純明快、要は「カッコいい」わけですね。

 

カメラは撮影する道具でありますから、本筋は「基本機能」の充実が第一命題。そんな視点からは、特に「PENTAX K-3 IIの後継機」を待たれている方からしますと、

「おいおい何やってんだ」

と感じられるかと思いますが、そこは商品企画の「某W代さん」のお仕事でございます。

その点、遅々と着実に前に進んでいるとお聞きしておりますので、切り離してこのカメラを見て頂けると幸いです。(^^);;

 

ということで、このカメラはそういう本家本筋ラインとは一線を画すカメラなわけで、

製品が生まれくる通常の道筋とは違う形で経て生まれてきたのがこの PENTAX KP J limited。



既存製品に一手二手を加える事=カスタムすることで、「より愛着が生まれるカメラとならないか」
 

そんな命題に、男たち3人組が取り組んだ「熱き想いのカメラ」がこの PENTAX KP J limited なのです。




そして、このデザインを担当された方は、あの軍艦部に特徴があるリーゼントカメラ「PENTAX K-30」を担当された鈴木タケオさん。

優しい雰囲気の PENTAX KP を、男らしい、あるいは荒ぶる感じ、精悍、キメル、直線美、ほんと上手く、見事に仕立て直され、男の道具感を出されました。

両機に、なんとなく相通じる遺伝子を感じますね。

そんな PENTAX KP J limited ですが、実は、トップカバーは被り物。取り外しができますので、気分で着せ替え。なんとも楽しいカメラです。


PENTAX_KP_J_LIMITED-013.jpg

上の写真の通り、トップカバーを前から引っ掛けて、アクセサリーシュー部分に止め金具を差し込んで固定します。

聞く所では、営業幹部の方のアイディアだそうで、なんだかんだといっぱい関わっておられます。



ただし、当然トップカバーは「ツッパってますから」、一部のレンズでは干渉する場合があります。

「これ付かいないじゃん」ではなく、付けれるレンズで前向きに !!! そんな寛容さも必要です。

あと、ストラップも何か一工夫=カスタムしてみたいところ。

さらにツッパれそうですね。




ではでは、いつも通り外観を見ていきましょう。



CP+2019では、上記のように複数色を作られて、皆さまのご意見を聞かれた結果、以下の2色が発売されることになりました

① Black & Gold

② Dark Night Naby

PENTAX_KP_J_LIMITED-004.jpg黒金モデルは、ウッドグリップが赤色で本体の各文字が金色(除くフロントのペンタロゴ)。塗装の黒は、漆黒の縮面仕上げです。通常の黒と同じだと思うのですが、光沢感の高い赤いグリップのせいでしょうか、より漆黒に感じます。

そして、ネイビーはウッドグリップがSumi Black、このSumiは本当に高級墨汁を塗布されているからだそうです。また、本体色はネイビーなのですが、光の当たり具合や見る角度で、見え方が変わる塗装。とても明るく青く見えたり、とても落ち着いた黒に近い青に見えたりと、とても表情が変わる塗装となっています



次ページで、より詳細に見ていきましょう。

(ご注意事項)

トップカバーを本体に固定するためのシューに差し込む連結金具がまだ製品版ではなく、真鍮製のメッキとなっています。製品版ではステンレスとなりますので、少し色の見え方や質感が異なりますのでご注意下さいませ。今回ご紹介させて頂きますカメラは、あくまでもほぼ最終に近い試作機です。発売される製品版とは一部異なる箇所が出てくるかもしれませんので、その点ご理解のほどお願い申し上げます。

 

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