いつもありがとうございます。
八百富写真機店の公式 twitter 担当「ヤオッター」こと、中古カメラご一行様担当の "S"です
先日、ふと「フイルム写真のラチチュード」のことが書きたくなってtwitterで連投したのものを、こちらで少し再編集して掲載させて頂きます。
ラチチュードは、ラティチュード、ラティテュードとも表記される写真用語、オーディオや信号処理系で出てくる「ダイナミックレンジ」と同じよう意味合いです。
昔のフィルム時代を経験されていない新たなフィルムユーザー様向けに、出来るだけ分かりやすく「カラーネガフィルム」の特徴をまとめてみました
もし、分からない事があれば、いつでも twitter 経由でお問合せ下さいね~
八百富写真機店 @yaotomicamera https://twitter.com/yaotomicamera
ラチチュードとは露出のオーバー(白い所)から露出のアンダー(黒い所)の所をどこまで再現できるかの領域の事。
広いとか狭いとかでその幅を表現します。
フィルムではネガが「広く」、ポジが「狭い」特性をもっています。
そのうちネガの許容範囲は適正露出に対して上下5段、もう少し突っ込むならオーバー側のほうがより強いので、中央値に対してオーバー6段、アンダー4段程度の光の情報を記録できる媒体だと思っておいて下さい。
対する「ポジ」は適正露出に対して上下2.5段ほど5段の光の情報を記録できます。
なので、露出調整機構の無いレンズ付きフィルムには、ラチチュードが広い高感度のフィルムが入れられているわけですね。
アンダーになった薄いネガ像より、少々オーバー(濃いネガ像)だけれど、ネガフィルムはオーバー側に耐性力のあるラチチュードなのでプリントしやすい(色が出る)という利点、そして高感度にするとシャッタースピードを稼げる、そんな理由から高感度カラーネガフィルムが装填されています。
残念ながら生産完了となってしまった富士フイルムのナチュラ。
感度1600のフィルムですが、お外でもあるいは室内でもノンフラッシュ、雰囲気を残せる万能フィルムとして人気があったという所は、こういうラチチュードの広さに起因します。
低感度フィルムの微粒面は素晴らしいですが、ナチュラも発色カプラーの工夫で高感度フィルムで言われがちな粒状性の粗さを改善したフィルムだったので、生産完了は個人的には写真文化の中でとても大きな損出の一つだと思っています。
ということで、ざっくりネガ10段、ポジ5段がラチチュードだと覚えておいて下さい
ここからが本題。
じゃ、フィルムに記録された光の情報を表現する写真印画紙のラチチュードは何段か?
ここ重要、ざっくり「5段」なわけですね。
つまり、ポジと印画紙は同じというわけです。
また、ポジ像には光の明暗だけでなく、誰もが認識できる色情報も記録されますので、写す前に露出をどうするか、ホワイトバランスはどうするかの設定を決めなければなりません。
なので、プロカメラマンは明暗差を図る普通の露出計だけでなく、高価なカラーメーターを購入し色温度を測定されていたわけです。
測定値はフジやコダックのカラーバランスフィルターの数字に置き換えられ、使う色フィルターを選択し、最終的な写真の出来上がりを想定した上で撮影されていたわけです。
まさにプロフェッショナルな仕事。
現像されたポジ像は光の明暗と色を考慮した上での完成品。
それゆに、印刷などの後工程との調整が少なく、互いにローコストだったわけと存じます。
そして、かたやの「ネガ」
ネガに残された情報は「10段」、印画紙は「5段」つまり、撮影後の後工程でどう表現するか色々と考えることができるわけです。
一見するとポジはプロ、ネガはアマチュアと思いがちですが、許容範囲の広さを持つネガフィルムは超優秀な記録媒体だと言えます。
そのかわりネガで重要なことは、後行程の人にどう自分の想いを伝えるかです。
ここがほんと勘所。
オレンジ色の支持体(オレンジベース)の上に補色で記録されたネガ像だけでは、普通の人はどんな色なのか全く分かりません。
私も「緑は赤~」程度。でも、昔のモニターなしのプリンター機の時代、写真屋さんで働くプリンターマンは普通にネガ像を見ただけでカラーに脳内変換できたのです。あのオレンジ色が、ポジみたい見えるそうです。ある意味、職人です。
そんな補色で記録されたカラーネガ像は、プリント時に、C(シアン)M(マゼンダ)Y(イエロー)の3色の色フィルターを使って三度露光時間を変えながら、色を再現していきます。つまり、露光時間のかけかたで色を作れるということです。
もちろん、カラーネガフィルムそのものの固有の特性はありますが、最後の色づくりはプリンターマンの仕事。
なので、ニュートラルにプリントするのか、あるいはその場の雰囲気を重視するのか、そういうあたりの撮影者の意図をくみ取りながらプリンターマンはプリントしてきます。
そこらあたりの撮影者の想いをどう伝えるか、またどうくみ取るかのコミュニケーションがお互いに必要、重要だということです。
また、ネガは5段の印画紙では表現できていない情報が沢山つまった媒体です。
以前に書きましたが、データ化したらネガを捨ててしまう方がおられますが、とてももったいない。
そのデータ化された写真は、ネガの一部を再現したものに過ぎないのです。
なので、作品にする時など、ここ一番には「ネガ」をお持ちください。
同時プリントで焼いたL判写真などがプラスであれば、とてもお互いにコミュニケーションしやすいでしょうか。
ネガはとても優秀なフィルムです。
今後も末永く生き残ってほしい記録媒体だと思います(終)
《フィルム写真のラチチュード》まとめ
ネガフィルムと印画紙(プリント)の関係は、現像されたオレンジベース上に記録された10段分の光の情報の中から、どう5段分の情報を切る取るか?ということを、「撮影後」にできる記録媒体だということです。
そういう事を頭においてお使い下さい~
ということは?
めちゃ「スナップに強い媒体」だと言えますね。
つまり、ラチチュードが広い ⇒ 露出に寛容 ⇒ 少々のいい加減さに耐えうる媒体であるという事。
絞りF8、中距離にピント置き、後はシャッターチャンスをまって、限りある36枚撮りで挑んでみる。
被写界深度を利用してパンフォーカスで撮影するスナップ写真の時に、フィルムのラチチュードの広さを意識してみる
また、それいと楽しです! (完)
広いとか狭いとかでその幅を表現します。
フィルムではネガが「広く」、ポジが「狭い」特性をもっています。
そのうちネガの許容範囲は適正露出に対して上下5段、もう少し突っ込むならオーバー側のほうがより強いので、中央値に対してオーバー6段、アンダー4段程度の光の情報を記録できる媒体だと思っておいて下さい。
対する「ポジ」は適正露出に対して上下2.5段ほど5段の光の情報を記録できます。
なので、露出調整機構の無いレンズ付きフィルムには、ラチチュードが広い高感度のフィルムが入れられているわけですね。
アンダーになった薄いネガ像より、少々オーバー(濃いネガ像)だけれど、ネガフィルムはオーバー側に耐性力のあるラチチュードなのでプリントしやすい(色が出る)という利点、そして高感度にするとシャッタースピードを稼げる、そんな理由から高感度カラーネガフィルムが装填されています。
残念ながら生産完了となってしまった富士フイルムのナチュラ。
感度1600のフィルムですが、お外でもあるいは室内でもノンフラッシュ、雰囲気を残せる万能フィルムとして人気があったという所は、こういうラチチュードの広さに起因します。
低感度フィルムの微粒面は素晴らしいですが、ナチュラも発色カプラーの工夫で高感度フィルムで言われがちな粒状性の粗さを改善したフィルムだったので、生産完了は個人的には写真文化の中でとても大きな損出の一つだと思っています。
ということで、ざっくりネガ10段、ポジ5段がラチチュードだと覚えておいて下さい
ここからが本題。
じゃ、フィルムに記録された光の情報を表現する写真印画紙のラチチュードは何段か?
ここ重要、ざっくり「5段」なわけですね。
つまり、ポジと印画紙は同じというわけです。
また、ポジ像には光の明暗だけでなく、誰もが認識できる色情報も記録されますので、写す前に露出をどうするか、ホワイトバランスはどうするかの設定を決めなければなりません。
なので、プロカメラマンは明暗差を図る普通の露出計だけでなく、高価なカラーメーターを購入し色温度を測定されていたわけです。
測定値はフジやコダックのカラーバランスフィルターの数字に置き換えられ、使う色フィルターを選択し、最終的な写真の出来上がりを想定した上で撮影されていたわけです。
まさにプロフェッショナルな仕事。
現像されたポジ像は光の明暗と色を考慮した上での完成品。
それゆに、印刷などの後工程との調整が少なく、互いにローコストだったわけと存じます。
そして、かたやの「ネガ」
ネガに残された情報は「10段」、印画紙は「5段」つまり、撮影後の後工程でどう表現するか色々と考えることができるわけです。
一見するとポジはプロ、ネガはアマチュアと思いがちですが、許容範囲の広さを持つネガフィルムは超優秀な記録媒体だと言えます。
そのかわりネガで重要なことは、後行程の人にどう自分の想いを伝えるかです。
ここがほんと勘所。
オレンジ色の支持体(オレンジベース)の上に補色で記録されたネガ像だけでは、普通の人はどんな色なのか全く分かりません。
私も「緑は赤~」程度。でも、昔のモニターなしのプリンター機の時代、写真屋さんで働くプリンターマンは普通にネガ像を見ただけでカラーに脳内変換できたのです。あのオレンジ色が、ポジみたい見えるそうです。ある意味、職人です。
そんな補色で記録されたカラーネガ像は、プリント時に、C(シアン)M(マゼンダ)Y(イエロー)の3色の色フィルターを使って三度露光時間を変えながら、色を再現していきます。つまり、露光時間のかけかたで色を作れるということです。
もちろん、カラーネガフィルムそのものの固有の特性はありますが、最後の色づくりはプリンターマンの仕事。
なので、ニュートラルにプリントするのか、あるいはその場の雰囲気を重視するのか、そういうあたりの撮影者の意図をくみ取りながらプリンターマンはプリントしてきます。
そこらあたりの撮影者の想いをどう伝えるか、またどうくみ取るかのコミュニケーションがお互いに必要、重要だということです。
また、ネガは5段の印画紙では表現できていない情報が沢山つまった媒体です。
以前に書きましたが、データ化したらネガを捨ててしまう方がおられますが、とてももったいない。
そのデータ化された写真は、ネガの一部を再現したものに過ぎないのです。
なので、作品にする時など、ここ一番には「ネガ」をお持ちください。
同時プリントで焼いたL判写真などがプラスであれば、とてもお互いにコミュニケーションしやすいでしょうか。
ネガはとても優秀なフィルムです。
今後も末永く生き残ってほしい記録媒体だと思います(終)
《フィルム写真のラチチュード》まとめ
ネガフィルムと印画紙(プリント)の関係は、現像されたオレンジベース上に記録された10段分の光の情報の中から、どう5段分の情報を切る取るか?ということを、「撮影後」にできる記録媒体だということです。
そういう事を頭においてお使い下さい~
ということは?
めちゃ「スナップに強い媒体」だと言えますね。
つまり、ラチチュードが広い ⇒ 露出に寛容 ⇒ 少々のいい加減さに耐えうる媒体であるという事。
絞りF8、中距離にピント置き、後はシャッターチャンスをまって、限りある36枚撮りで挑んでみる。
被写界深度を利用してパンフォーカスで撮影するスナップ写真の時に、フィルムのラチチュードの広さを意識してみる
また、それいと楽しです! (完)
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